● CASE.07

日本の食の安全の水先案内人を招き、
若手人材との懇談会を開催。
フードセーフティカルチャーの醸成を

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● SEMINAR
高澤品質管理研究所は令和4年4月11日、生活協同組合連合会コープ北陸事業連合品質管理センター(金沢市古府)で、山口大学共同獣医学部教授の豊福肇氏を招き、県内の事業所で食品製造や品質管理に携わる若手人材7名との懇談会を開催しました。豊福氏は厚生労働省で食品安全管理の認証制度「総合衛生管理製造過程(通称:マル総)」を立ち上げたほか、食の安全に関する国際的な政府間機関である「コーデックス委員会」で日本代表の委員を長く務めるなど、ご活躍されています。現在は、一般財団法人食品安全マネジメント協会が運営し、近年、取得件数が急増している「JFS規格」の規格検討作業部会の委員として携わっています。今回当社では、若手人材が日本の食の安全の羅針盤として活躍されている一流の先生と交流できる機会を提供したいとの思いから、懇談会を企画、開催しました。

● 講 師
山口大学共同獣医学部教授
豊福 肇氏

取得件数が急増する「JFS規格」に注目を

懇談会では各自が自己紹介した後、食の安全にまつわる最新の動向、若手人材が日頃の仕事の中で抱えている疑問や不安について、ざっくばらんに話し合いました。話題の一つは豊福氏が改定を手がけるJFS規格です。豊福氏はJFS規格には、いわゆるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理に近い「JFS-A規格」、コーデックスのHACCPと一般衛生管理に食品安全マネジメントを加えた「JFS-B規格」、国際標準規格としてグローバルに通用する「JFS-C規格」の3種類があり、JFS-C規格はFSSC22000などと違い、書類は日本語、監査も日本人が行うため、国内の事業者でも取り組みやすい点など、その特徴を紹介しました。
安全文化を根付かせる手段は教育・訓練・検証

また、豊福氏はコーデックス委員会において、今後、世界中で取り組みを強化しなければならないとされた二つの議題について言及しました。一つはフードセーフティカルチャー(食品安全文化)の醸成です。豊福氏は「何か起きたときに、経営者も従業員も食品安全ファーストで考え、コミュニケーションが取れるような文化を育むことが重要」との見解を示し、髙澤は「フードセーフティを事業者が文化として根付かせる手段は教育・訓練・検証しかない。単に資料を読んでもらうだけでなく、理解して行動できるまで粘り強く伴走することが必要であり、安全な食品を提供することにプライドを持って取り組めるようにしなければならない」と応じました。もう一つはアレルゲン物質です。生物学的・物理的・化学的な危害要因に加え、アレルゲン物質を第4のハザードと捉え、厳密に管理すべきという議論が進んでいることが紹介されました。
原材料調達時は品質保証書も必ず取り寄せを

懇談会では、豊福氏と髙澤が参加者からの意見や質問にも答えました。例えば、「HACCPが制度化されても、肌感覚としてはそれほど意識が高くない工場が多い印象を受ける」という声に対し、豊福氏は「制度化されたとはいえ、第三者認証の必要はなく、HACCPを実施していなくてもすぐに罰則があるわけではない上、コロナの影響で保健所の食品衛生監視員が頻繁に監視に来るわけでもないため、危機感が薄れているかもしれない。しかし、今後はJFS-B規格などを取得していなければ納入を認めない食品メーカー、流通業者が増える可能性があり、B to Bの現場における要求の高まりが衛生管理向上のモチベーションになると考えている」との認識を示しました。また、「原料の産地を確認するため、産地判別検査以外の手段はないか」という質問に対しては、豊福氏が「お金がかかるかもしれないが、フルトレーサビリティを確立しておくことが、お客様の信頼獲得につながる」と述べ、高澤も「悪意を持って偽装している場合は見破ることは難しいが、原材料を調達するときは供給元から品質保証書を必ず取り寄せてください」とアドバイスしました。
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高澤品質管理研究所では、今後も食の安全・安心のトップランナーを招いた懇談会や勉強会を企画、開催してまいります。開催情報は Facebook などを通じてご案内しますので、ふるってご参加ください。

懇談会
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